大分県佐伯市鶴見。山と海が近く、入り組んだ海岸線が続くこの町で、真牡蠣「海雫」は育てられています。

海の上に浮かぶ養殖バスケット。その中で、一粒ずつ育っていく牡蠣を見つめながら、日々、海と向き合っている人がいます。
株式会社海生の笠村さんです。

笠村さんが養殖業の世界に入ったきっかけは、奥さまの実家である「塩月漁業」でした。そこで目にしたのは、まき網漁に携わる義理のお父さんの姿。
体ひとつで海に立ち向かう姿。黙々と働く背中。自然を相手にしながら、地域の水産業を支えてきたその姿に、笠村さんは強く惹かれていきました。
私たちは今回、佐伯市鶴見で海雫を育てる海生を訪ね、笠村さんがなぜ養殖業を始めたのか、そして海雫に込める想いを伺いました。

義父の背中を見て、養殖の道へ
笠村さんにとって、養殖業は最初から身近な仕事だったわけではありません。
会社員として働いていた笠村さんが、奥さまの実家「塩月漁業」で目にしたのは、海で働く義理のお父さんの姿でした。
まき網漁に携わり、体ひとつで海に向き合う姿。言葉で多くを語るのではなく、黙々と働く背中。

その姿を見て、笠村さんの中に「かっこいい」という感情が芽生えていきました。
海の仕事は、思い通りにならないことの連続です。天候も、潮の流れも、魚の動きも、人の都合だけでは動いてくれません。
それでも海へ出る。自然と向き合う。地域の水産業を支える。
義理のお父さんの仕事を近くで見るうちに、笠村さんはその世界に惹かれていきました。
塩月漁業の歴史を、次の世代へ

当時、塩月漁業には跡を継ぐ後継者がいないという現実がありました。
そんな中、笠村さんの胸に芽生えていったのは、「いつも温かく迎えてくれる義父に、恩返しがしたい」「塩月漁業の歴史を、次の世代へと繋げたい」という想いでした。
ただ憧れるだけではなく、自分がその一端を担うことはできないか。
義理のお父さんが続けてきた仕事を、次につなげることはできないか。

その想いから、笠村さんは牡蠣養殖部門を引き継ぐかたちで、株式会社海生を設立します。
塩月漁業の一端を担いながら、佐伯市鶴見の海で、自身の挑戦が始まりました。
佐伯市鶴見の海で、海雫を育てる

笠村さんが向き合っているのは、佐伯市鶴見の海です。
山と海の距離が近いこの海域には、山からの栄養が流れ込みます。潮の流れ、海の状態、季節の変化。そのすべてが牡蠣の成長に関わってきます。
海雫は、その海の上に浮かぶバスケットの中で育てられています。
豊かな海だからといって、良い牡蠣が自然に育つわけではありません。
海の力を借りながら、人の手で整えていく。

笠村さんたちは、牡蠣の状態を見ながら、バスケットを管理し、殻についた付着物を取り除き、一粒ずつ手をかけていきます。
自然に任せるだけではなく、自然と向き合う。
その日々の積み重ねが、真牡蠣「海雫」を育てています。
まるで我が子のように、一粒ずつ
笠村さんが大切にしているのは、「いかに愛情をかけて、良いものを育てられるか」ということです。
毎日の作業の中では、牡蠣に声をかけることもあるそうです。
「大きくなれよ」
「頑張れよ」

小さな稚貝が少しずつ育ち、やがてお客様のもとへ届く。その瞬間が何より嬉しいと、笠村さんは話します。
牡蠣は、工業製品のように同じものができるわけではありません。
海の状態も、成長の仕方も、一粒一粒違います。

だからこそ、毎日見る。手をかける。変化に気づく。
笠村さんにとって海雫は、ただ出荷するための牡蠣ではなく、我が子のように育てていく存在なのだと感じました。
新しい養殖方法への挑戦

海生が育てる海雫には、新しい養殖方法も取り入れられています。
海雫は専用のバスケットの中で一粒ずつ育てられています。


定期的にバスケットを回し、牡蠣に適度な刺激を与える。海の中だけではなく、天日干しの状態もつくりながら、身がしっかりと育つように手をかけていく。
効率だけを考えれば、手間のかかる方法です。
それでも笠村さんたちは、その手間を選びました。

一粒ずつ見て、整える。
殻の状態を確認する。
余分な付着物を取り除く。
牡蠣が健やかに育つ環境を、人の手でつくり続ける。
海雫は、佐伯の海の力と、笠村さんたちの日々の手入れが重なって育つ真牡蠣です。
「牡蠣といえば海雫」と呼ばれる存在へ

笠村さんには、目指している未来があります。
「牡蠣といえば海雫」
そう呼ばれる存在に育てることです。
佐伯市鶴見の海で育つ牡蠣を、もっと多くの人に知ってもらいたい。大分の海にも、こんな牡蠣があるのだと感じてもらいたい。

義理のお父さんの背中に憧れて入った水産の世界。
後継者がいないという現実を知り、恩返しと継承の想いから始まった海生の挑戦。
その先に、海雫があります。
海と向き合い、一粒ずつ手をかけ、佐伯の海から新しい価値を届けていく。
笠村さんの挑戦は、今も続いています。
オシチョクおおいたより

私たちが海生の海雫に惹かれたのは、ただ肉厚でおいしい牡蠣だからではありません。
義理のお父さんの背中に憧れ、養殖業の世界へ入り、塩月漁業の歴史を次の世代へ繋ぐために、株式会社海生を立ち上げた笠村さんの姿勢に惹かれました。
海の仕事は、自然を相手にする仕事です。
思い通りにならないこともある。手間もかかる。それでも、毎日海を見て、牡蠣を見て、一粒ずつ声をかけながら育てていく。
その積み重ねの先に、真牡蠣「海雫」があります。
大分には、まだ知られていない海の恵みがあります。そして、その価値を届けようとするつくり手がいます。
佐伯市鶴見の海で育つ海雫を通じて、笠村さんの挑戦と、大分の海の豊かさを感じていただけたら嬉しいです。
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活き真牡蠣「海雫」
1日数回、牡蠣を水面から出して、天日に干すことで牡蠣自体が乾燥を防ごうと殻を強く閉じます。それにより肉厚で貝柱が太く、甘みのある牡蠣に仕上がります。濃厚というより、キリッとした味わいです。
オシチョクおおいたについて
オシチョクおおいたは、大分のつくり手を訪ね、私たちが本当に紹介したいと思った商品を届ける、大分のセレクトギフト専門店です。
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