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奇岩の山岳地帯、大分県玖珠町で日本ミツバチと生きる、福⑧堂の物語

大分県玖珠町。
切り立った岩肌の山々が連なり、奇岩が点在する、全国的にも珍しい地形を持つ町です。
山に囲まれたこの土地では、季節ごとに花が咲き、草木が移ろい、日本ミツバチたちはその自然の中を飛び回ります。そんな玖珠町で、日本ミツバチの自然養蜂に取り組む人がいます。

福⑧堂の吉武琢磨さん。

今では、日本ミツバチの純粋はちみつを手がける養蜂家として知られる吉武さんですが、その人生は、最初から蜂蜜に向かっていたわけではありません。

高校卒業後、就職も進学もせずに東京へ。
アルバイト、バーの経営、スタントマン。
型にはまらない、自由な人生を歩んできました。

そんな吉武さんの人生を大きく動かしたのが、東京で偶然口にした日本ミツバチの蜂蜜でした。

目次

日本ミツバチと生きる“自然養蜂家”

吉武さんが初めて日本ミツバチの蜂蜜を口にしたとき、その美味しさに衝撃を受けたそうです。
それまで知っていた蜂蜜とは、まったく違う味。
さらに大分へ帰省した際、師匠が手がける日本ミツバチの蜂蜜を食べ、その味に改めて驚きます。

東京へ戻り、友人たちにその蜂蜜を配ると、反応はすぐに返ってきました。
「どこで買えるの?」
一度食べた人が、また欲しくなる。
その評判を聞くうちに、吉武さんの中にひとつの思いが生まれます。

自分でも、作れるかもしれない。

36歳で大分県玖珠町へ帰郷。
そこから、日本ミツバチ一本の自然養蜂の道が始まりました。

辿り着いた答え

しかし、最初からうまくいったわけではありません。
一年目。
初めて採れた蜂蜜は、師匠の味とはまったくの別物でした。
同じ日本ミツバチ。
同じように育てているはず。

それなのに、なぜ味が違うのか。

当時の吉武さんは、指南書を読み漁り、効率を追い求めていたそうです。
どうすれば多く採れるのか。
どうすればうまく管理できるのか。

けれど、その先にあった蜂蜜は、自分が感動した味ではありませんでした。
同じ方法なのに、なぜ違うのか。
その疑問を追い続けた先で、吉武さんはひとつの答えに辿り着きます。

効率を捨てること。
自然とミツバチを尊重すること。

人の都合で管理するのではなく、ミツバチの営みに合わせること。
それこそが、本当に美味しい日本ミツバチ蜂蜜につながる道だと気づいたのです。

みつばちファーストの採蜜

吉武さんの採蜜方法は、一般的な養蜂とは少し違います。
玖珠の山に巣箱を担いで入り、急な岩山を登り巣箱を設置します。
どこに設置するかは長年の経験。
その地形や草木の生え方、風の抜け方、さまざまな自然の要素を下に設置していきます。

また、ハチミツを採取する際にも独自のルールがあります。
巣箱を開けたとき、幼虫やサナギがいれば、たとえ蜜が溜まっていても採蜜はしません。
巣を切れば、育ちきらない命を奪ってしまうからです。
怒っている群れからも、無理には採らない。
採れるから採るのではなく、分けてもらえる状態かどうかを見る。
吉武さんは、こんなふうに話します。

「こっちは家を置かせてもらってるだけ。分けてもらえるぶんだけ、ありがたくいただく。」

蜂蜜を作っているのは、人ではありません。
花をめぐり、蜜を集め、巣の中で時間をかけて蓄えるミツバチたちです。
人は、その一部を分けてもらっているだけ。

吉武さんの養蜂には、その考え方が一貫しています。

この“みつばちファースト”の姿勢に変えてから、採蜜量はむしろ増え、群れは安定し、健康に繁栄するようになったそうです。
効率を捨てた先に、自然に沿った豊かさがあった。
その話が、とても印象に残りました。

自然の研究者

吉武さんは、養蜂家というより、自然の研究者のような人です。

なぜ、この巣箱には入らないのか。
なぜ、この群れは強いのか。
なぜ、ここではうまくいくのか。

自然を観察し、理由を考え、少しずつ改善を重ねていく。
その繰り返しが、福⑧堂の蜂蜜づくりを支えています。

人が思い通りにしようとしても、自然はその通りには動きません。
ミツバチにも、群れごとの状態があります。
季節も、天候も、花の咲き方も、毎年同じではありません。

だからこそ、吉武さんはよく観察します。

無理に誘導するのではなく、ミツバチが自分で選んだ場所を大切にする。
巣箱も、ミツバチが入った場所だけを活かしていく。
人が決めるのではなく、ミツバチの選択を尊重する。

その姿勢が、強い群れを育て、自然に寄り添った蜂蜜につながっています。

オシチョクおおいたについて

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